iDeCoの節税って結局いくら得?10年積み立てた我が家のケースで計算してみた

💡 この記事は我が家の実体験と実数字をまとめたものです。特定の投資商品を勧めるものではなく、利益を保証するものでもありません。税制は改正されることがあり、最終的な判断はご自身で。

「iDeCo、節税になるって聞くから続けているけど、結局いくら得しているんだろう?」

毎月コツコツ積み立ててはいるけれど、節税の効果をきちんと計算したことはない。なんとなく「やっておけば安心」で続けている——そんな人は多いと思います。

私はどちらかというと逆で、納得しないと始められないタイプ。iDeCoも「いくら得なのか」を計算してから始めました(笑)。ただ、当時ちゃんと詰めていなかったのが受取時の税金です。拠出のときの節税ばかり見ていて、出口でいくら取られるかは正直ざっくりでした。

そこで今回は、毎年の節税額だけでなく、受け取るときにかかる税金まで含めた「正味でいくら得するのか」を計算し直してみました。

結論から言うと、拠出時の節税額と受取時の課税額だけを単純比較した差額は、およそ27万円でした。数千万円を60歳まで動かせないことを思うと、正直「これだけ?」とがっかりする数字でした。

ただし、この27万円は「拠出時の節税」と「受取時の課税」だけを比べた数字です。iDeCo口座内での運用益が非課税になるメリットや、節税分を再投資する効果までは含めていません。iDeCoの本質は「税金の後払い」で、浮いた節税分まで再投資に回せば、上乗せできる資産は約329万円にもなります。我が家のケースで、その中身を順番に見ていきます。

目次

まず我が家のiDeCo残高を公開します

久しぶりにiDeCoの口座を開いてみたら、残高はこうなっていました。

7,120,841円

2016年7月から積み立てを始めて約9年11ヶ月。月23,000円の拠出を続け、元本約274万円が約712万円まで増えました。約2.6倍です。

運用先は現在100%オルカン(全世界株式インデックス)。始めた頃は投資初心者だったこともあり、TOPIXやREITを少し混ぜていましたが、途中でオルカン100%に切り替えました。毎月コツコツ積み立ててきたので単純な年率換算は正確ではありませんが、始めた頃に想定していた年率7%を大きく上回る相場環境だったことは間違いありません(同じ成績が今後も続く保証はありません)。

残高が増えているのは嬉しい一方で、ふと気になりました。

受取時の税金を引いたら、本当はいくら得しているんだろう?

iDeCoの節税は結局いくら得するのか、計算してみた

毎年の節税額から、受取時の課税額を差し引いた正味の節税額を計算します。

ここからは分かりやすいように、モデルケースで試算します(私の実データそのままではなく、年収や勤続年数を一般的な会社員に置き換えた条件です)。条件はこちらです。

項目条件
勤続年数22歳〜60歳・38年(転職なし)
退職金1,000万円
iDeCo拠出期間31歳〜60歳の30年間
課税所得402万円(年収約800万)で一定
運用利回り年率7%(保守的な想定)
掛金月23,000円(年27.6万円)※うち運用分は月22,829円(口座管理手数料171円を除く)

① 毎年いくら節税できるか

iDeCoの掛金は全額が所得控除になります。課税所得から所得税・住民税を計算して、iDeCoあり・なしを比べます。

iDeCoありの場合(課税所得402万円)
所得税:37.65万円 + 住民税:40.2万円 = 77.85万円

iDeCoなしの場合(課税所得429.6万円)
所得税:43.17万円 + 住民税:42.96万円 = 86.13万円

差額 = 年間8.28万円の節税。30年間の合計(8.28万円×30年)では約248万円になります。

② 受け取るときにいくら課税されるか

iDeCoは受取時に課税されます。一時金で受け取る場合、退職所得控除を使えます。

退職所得控除(38年勤務):2,060万円
iDeCo残高(30年・年率7%運用):約2,785万円

課税対象(課税退職所得)=(2,785万 + 退職金1,000万 − 退職所得控除2,060万)× 1/2 = 862.5万円

この862.5万円に、所得税と住民税の両方がかかります。

  • 所得税:862.5万 × 23% − 63.6万 = 約134.8万円
  • 住民税:862.5万 × 10% = 約86.3万円
  • 合計 = 約221万円

(※復興特別所得税は簡略化のため省略した概算です。)

なお、これは退職金とiDeCoを同じ年に一時金で受け取る想定です。受取時期や、一時金・年金の組み合わせによって税額は変わります。受取年をずらせば必ず税金が減るとは限らず、退職金との受取順や間隔によって退職所得控除の扱いも変わるため、出口は個別に確認が必要です。受取方法でどれだけ変わるかは、iDeCoの受け取り方で手取りが変わるにまとめています。

③ 拠出時の節税と受取時課税を単純比較すると約27万円

248万円(節税)− 221万円(受取課税)= 約27万円

これが、拠出時の節税額と受取時の課税額だけを単純比較した差額です。

正直に言うと、最初にこの数字を見たときは天を仰ぎました。2,000〜3,000万円を数十年も動かせなくて、見返りが20万円台って割に合わないなと。

でも、ここで計算をやめてはいけません。iDeCoには、まだ計算に入れていない実益があります。

iDeCoの本質は「税金の後払い」

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。

iDeCoの仕組みをよく見ると、拠出時に節税されて、受取時に課税される。この入口と出口だけを見ると、税金を払うタイミングを数十年先にずらしているだけ——「税金の後払い」に近い構造です(正確には、これに加えて運用益が非課税で再投資されるメリットもあります)。

何が言いたいかというと、毎年節税で浮いた8.28万円を、iDeCoの口座とは別に、NISAや特定口座で運用に回せるということです。

毎年8.28万円を、30年間、年率5%で運用できたとすると——

約550万円

この約550万円から、iDeCo受取時にかかる税金を引くと、節税分を再投資したことによる上乗せ資産を概算できます。

  • 節税分を再投資してできた資産額:約550万円
  • 受取時にかかる税金(iDeCo残高から支払う):−約221万円
  • 差し引き:約329万円

なお、この約329万円は「iDeCoだけで増えた利益」ではありません。iDeCoの掛金控除で浮いたお金を別口座で再投資し、iDeCo受取時の税金まで見込んだ場合に、家計全体で上乗せできる資産の概算です。

さきほどの単純比較ではわずか27万円。「2,000〜3,000万円も拘束されて、それだけ?」と思ったあの数字が、節税分を再投資に回すと、家計全体では約329万円の上乗せになります。差の約302万円は、浮いた節税分を再投資して増えた運用益です。

これは、節税分を生活費に溶かさず運用へ回した場合の上乗せ資産です。加えてiDeCoには、口座内の運用益が非課税で再投資されるメリットもあります(課税口座なら運用益に約20%の税金がかかります)。節税で浮いたお金まで働かせて初めて、iDeCoは本当の力を発揮します。

※この試算は、特定口座の運用益にかかる税金などを省いたざっくりした概算です。細かい数字よりも、「節税分を寝かせず再投資すると、iDeCoの価値はぐっと大きくなる」という考え方をつかんでもらえれば十分です。

節税で浮いたお金を再投資で増やす——これは複利の力そのものです。複利が長期でどれだけ効くかは、積立投資って本当に増えるの?子育て世帯が13年続けた結果で実数字とグラフを公開しています。

iDeCoをフル活用するために意識したい3つのこと

我が家がiDeCoで意識していること

  • 節税額だけで判断せず、受取時の課税まで含めた正味で考える
  • iDeCoは「税金の後払い」。浮いた節税分は使わず、再投資に回す
  • 受け取り方(一時金・年金・受取年の調整)で手取りが変わるので、出口も早めに考えておく

iDeCoは「入口(拠出)」の節税ばかりが語られますが、本当の損得は出口(受取)と、浮いたお金の使い道まで含めて初めて見えてきます。節税分をそのまま生活費に溶かしてしまうと、せっかくの後払いメリットを自分で消してしまうことになります。

まとめ:節税分の使い道まで決めて、初めてフル活用

  • 拠出と受取だけを比べた単純な正味節税は、このモデルケースで約27万円
  • ただし本質は「税金の後払い」。浮いた節税分まで再投資すれば、約329万円の上乗せ資産(再投資後550万円−受取税221万円)が生まれる。さらにiDeCo口座内の運用益は非課税
  • 受け取り方しだいで手取りは変わる。出口戦略もセットで考える

節税で浮いたお金をどこに回すか、そこまでセットで考えて初めてiDeCoはフル活用できる。 これが、10年積み立ててきた我が家の実感です。

なお、ここで使ったのはあくまで一例の試算で、年収・勤続年数・退職金・受け取り方によって結果は変わります。ご自身のケースは、必ずご自身の数字で確認してください。

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この記事を書いた人

アラフォーのパパ。家計の黒字を世界株インデックスに回す投資と、固定費中心の節約を13年以上実践中。机上の空論ではなく、自分の家計簿と証券口座の“数字”をもとに、投資・節約・子育てのリアルを発信しています。経済的自立(FIRE)を目指して奮闘中。

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