💡 この記事は我が家の体験と、そこから学んだ考え方をまとめたものです。特定のサービスやセキュリティ製品を勧めるものではありません。詐欺の手口や対策は日々変わります。最終的な判断はご自身で、不安なときは公式窓口や信頼できる人に相談してください。
資産形成の話というと、どうしても「どう増やすか」という攻めの話に目が行きます。オルカンがいい、新NISAをこう使う、と。
でも、何年もお金と向き合ってきて、私が本気で大事だと思うようになったのは、むしろ反対側の「どう守るか」という守りのほうです。
なぜなら、投資での含み損や相場の下落は、長期・分散で投資を続ける前提なら、時間をかけて回復を待てる場面があるからです。一方で、詐欺・盗難・誤送金・致命的な判断ミスは、一度起きると取り返すのが難しい。
今日はその「守り」の話を、我が家の恥ずかしい失敗も含めて正直に書きます。
妻が「宅配の不在SMS」を踏んだ日
何年か前のことです。妻のスマホに、宅配業者を装ったSMS(ショートメッセージ)が届きました。
「お荷物のお届けにあがりましたが不在でした」という、不在通知を装った内容です。文末には不審なリンクが貼られていました。
仕事終わりで疲れていた妻は、そのリンクを踏んでしまいました。
すぐに「なんか怪しい」と気づいて画面を閉じたそうですが、「スマホに変なものを入れられたかもしれない」と不安になりました。
幸い、IDやパスワードなどの情報を入力したり、不審なアプリをインストールしたりはしていませんでした。後から知ったのですが、怪しいリンクを開いてしまっても、情報を入力したり、不審なアプリをインストールしたりしていなければ、基本的には被害につながらないケースもあります。
ただ、当時の私たちは焦っていました。妻はウイルス対策ソフトを入れたいと言い出し、それで我が家はカスペルスキーを契約しました。
この宅配の不在通知を装ったSMS詐欺は、「スミッシング(SMS+フィッシング)」と呼ばれる代表的な手口です。誰でも、疲れているときや急いでいるときには判断を誤ることがある。妻を責める気は、まったく起きませんでした。
正直に:あのとき、ウイルス対策ソフトは必要だったのか?
ここからは、私が後から学んだことです。
当時の私も焦っていて、よく調べずに課金してしまいました。でも後から調べると、今のスマホやパソコンには、もともと一定のセキュリティ機能が備わっています。
たとえばiPhoneでは、アプリ同士が勝手に他のアプリの情報へアクセスしにくいよう、隔離して動かす仕組みが採用されています。Androidでも、Google Playプロテクトが有害なアプリをチェックする仕組みとして標準で動いています。
もちろん、「セキュリティソフトは絶対に不要」と言い切るつもりはありません。端末の種類や使い方によっては、追加の対策が役立つこともあります。特に、AndroidでGoogle Playストア以外からアプリを入れるような使い方は、慎重になった方がいいでしょう。
ただし、ここで大事なのは、セキュリティソフトも万能ではないということです。
有害なサイトや既知のフィッシングサイトへのアクセスを防いでくれる場合はあります。でも、本物そっくりの偽サイトに自分で情報を入力してしまう被害を、100%防げるわけではありません。
つまり、あのとき本当に必要だったのは、ソフトを入れることだけではありませんでした。「怪しいリンクを踏まない」「踏んでしまっても、IDやパスワードを入力しない」「不審なアプリを入れない」「迷ったら公式アプリや公式サイトから確認する」——こうした、もっと手前の守りのほうが重要だったのだと思います。
怪しいリンクを踏んだ直後の焦りで、よく調べずに課金してしまった。今思えば、まず落ち着いて確認すればよかった。これが正直な感想です。
そして、私自身も詐欺被害に遭ったと考えています(笑)
人のことは言えません。私自身、4年ほど前にしっかり騙された経験があります。
当時、私は副業をずっとやりたいと思っていました。でも、スキルも実績も何もない。
そんなとき、ハマっていたソーシャルゲームの中で知り合った「自称・社長」の人に、「メーカー仕入れからAmazon販売まで、せどりのやり方を教える」と言われました。
Amazonのセラーアカウント作成、メーカーのリサーチ、取引依頼メールの書き方。いろいろ相談に乗ってもらいました。
「練習に」と、その人から商品を一部売ってもらい、1回目はちゃんと取引できた。だから信用しました。
ところが2回目。お金だけ払って、商品が届かない。連絡もつかなくなりました。
しばらくして、「社長はコロナの肺炎で急逝した」と伝え聞きました。本当だったのかどうかは、今も分かりません。
被害額は10〜15万円ほどでした。正直、お金そのものより、そこに費やした時間が痛かったです。
それでも、ゼロではなかった
ただ、全部がムダだったかというと、そうでもありません。
その人は、メルカリでの販売のやり方も教えてくれて、それは今でも普通に役に立っています。Amazonセラーアカウントまわりの知識も、一部は手元に残りました。当時は副業日誌もつけていて、進捗ややることリスト、学んだことを毎日記録していました。見返すと、自分が何を考えていたかが残っている。失敗の記録ごと、ちょっとした財産になっています。
詐欺に遭ったことを正当化する気はありません。でも、「動いたからこそ残ったもの」もある——これは正直な実感です。
なぜ「投資家ほど」狙われ、守りが大事なのか
資産が増えてくると、当たり前ですが、動かすお金の桁が上がります。
月3,000円から始めた人も、気づけば何百万円、何千万円を動かすようになるかもしれません。そうなると、1回の詐欺や1回の誤操作によるダメージも、桁違いに大きくなります。
長期投資では、一時的な相場下落を経験することもあります。市場全体の下落であれば、売らずに保有を続けることで回復を待てる場合があります。嫁ブロックを乗り越えて投資を始めた話でも書きましたが、我が家の資産は「売らずに握り続けた」ことで育ちました。
でも、守りの失敗は別です。
偽サイトにログイン情報を入れて口座を不正利用される。うまい話に乗って大金を渡す。誤った口座へ大きな金額を送る。こういう一発は、何年分もの積み上げを吹き飛ばしかねません。
だから私は、はっきりこう思っています。守りは、めちゃくちゃ大事です。
私はたまたま小さい痛手で済みましたが、もっと大きなミスをしていたら、それだけで人生設計が大きく狂うことだってありえたと思います。
大きな金額を動かすときは、絶対に周りに相談する。
これが、痛い目を見た私の結論です。
我が家のネット詐欺対策
偉そうに語っていますが、やっていることはシンプルです。特別なツールより、習慣のほうが効きます。
① パスワード管理アプリ(1Password)を「警戒センサー」にする
我が家は1Passwordを使っています。
これは単なるパスワード管理だけでなく、偽サイトに気づくための「警戒センサー」としても役立っています。
1Passwordは、正規サイトのURLに紐づけてログイン情報を保存します。本物のサイトを開いたときは、保存済みのログイン情報を候補として表示してくれます。一方で、見た目がそっくりでも、保存したURLと違うサイトでは自動入力されません。
もちろん、1Passwordが反応しないからといって、必ず偽サイトとは限りません。設定や保存状況によっても変わります。ただ、「いつもなら自動入力されるはずなのに、出てこない」というときは、URLを見直すきっかけになります。
人間の目は、ロゴやデザインに騙されやすい。でも、パスワード管理アプリは保存したURLとの一致を見てくれる。この「自分の目だけで判断せず、仕組みにも頼る」という発想は、かなり効いていると感じます。
② リンクは踏まない・公式アプリやブックマークから確認する
メールやSMSに書かれたリンクは、基本的に踏みません。銀行・証券・配送会社などは、自分でブックマークした正規のURLか、公式アプリからアクセスするようにしています。
「不在通知が来た」と思っても、SMSのリンクではなく、配送会社の公式アプリや、自分でブックマークした追跡ページから確認する。IPA(情報処理推進機構)も、メールやSMSのURLからではなく、公式サイトや公式アプリから真偽を確かめる方法を勧めています。ひと手間ですが、スミッシング対策として、とても効果的だと感じています。
③ 多要素認証をかける
証券口座やメールなど、お金と本人確認に関わるものには、多要素認証を設定しています。
万一パスワードが漏れても、もう一段の確認があるだけで、不正ログインのハードルを大きく上げられます。設定できるサービスでは、パスキーや認証アプリも含めて、自分が無理なく続けられる方法を選ぶのがおすすめです。
まとめ:増やすより、守るほうが難しい
投資の世界では、「どう増やすか」ばかりが語られがちです。
でも、ある程度の資産ができてからは、「どう守るか」のほうが、ずっと難しくて、ずっと大事だと私は感じています。
我が家も、妻はSMS詐欺のリンクを踏み、私はせどりの取引で十数万円を失いました。完璧な人なんていません。だからこそ、仕組みで守りを固める。
- 1Passwordでログイン先を確認する
- リンクは踏まず、公式アプリやブックマークから入る
- 多要素認証を設定する
- 大きなお金を動かすときは、必ず誰かに相談する
子どもにも、お金の増やし方と同じくらい、「守り方」と「うまい話には乗らないこと」を伝えていきたい。お金のリテラシーは、攻めと守りの両輪です。(子どもへのお金の教育はこちらの記事にも書きました。)
増やすのは、時間や複利が手伝ってくれることがある。でも、守るのは自分次第です。
今日の話が、誰かの「一発退場」を防ぐ役に立てば、これ以上うれしいことはありません。
