💡 この記事は私の経験と考え方の話で、地震保険の解約を勧めるものではありません。地震のリスクは住む地域・建物・家計の状況でまったく違い、外して後悔したときの損失が大きい保険です。制度を調べたうえで私はこう判断した、という一例として読んでください。
火災保険の見積もりや更新のとき、「地震保険をセットしますか?」の欄で手が止まりませんか。
地震大国に住んでいて、外すのはさすがに怖い。でも保険料は高い。正解がわからないまま、なんとなく付けている方も多いと思います。
保険は、めったに起きないけれど起きたら家計が耐えられないものに使う道具だと思っています(判断軸は保険はいらない、を判断する方法に)。その基準でいくと、地震はまさに「保険が要る」側です。
それでも、私は3年ほど前に外しました。
地震保険について調べて、「壊れた家を建て直す保険」ではなく、「被災後の生活をつなぐ保険」と知ったからです。そして私には、住宅ローンがなく、その「つなぎ資金」がすでに貯蓄としてあったからです。
逆に言えば、住宅ローンが残っていたり、「つなぎ資金」が少なかったら外しません。
地震保険は家を建て直す保険ではなく、生活再建のつなぎの保険。そのつなぎを貯蓄で受けられる家計なら、外す選択肢もある
私は地震保険を外し、火災保険の補償も見直した結果、5年で約12万円→15,830円に
ただしローンが残っている人・貯蓄が薄い人にこそ効く保険
地震保険は「家を建て直す保険」ではない
地震保険は、火災保険とセットでしか入れません。そして保険金額は、火災保険の30〜50%の範囲でしか設定できません(建物5,000万円・家財1,000万円が上限。執筆時点/財務省「地震保険制度の概要」)。
私の火災保険は、建物が約2,000万円。目一杯付けても、最大で約1,000万円です。この金額で同じ家を建て直すのは難しい。
最初は「なんて中途半端な制度だ」と思いました。でもこれは制度の欠陥ではなく、設計思想でした。地震保険の目的は、法律で「被災者の生活の安定に寄与すること」と定められています。最初から、家を元通りにする保険ではなく、被災したあとの生活を立て直すまでの「つなぎ」として作られています。
制度そのものにも上限があります。1回の地震で、日本全体で支払われる保険金の総額は12兆円までと決まっていて、これを超える規模の地震では保険金が削減されることがあります(執筆時点/財務省・日本損害保険協会)。関東大震災級の地震を想定した額で、阪神・淡路大震災も東日本大震災もこの範囲に収まっています。
個人の契約にも、制度全体にも、あらかじめ上限が引かれている。この保険は「実際にかかる費用」ではなく「決められた枠」で組み立てられている、ということです。
支払いは「実際の修理費」ではなく、4区分の定額
保険金は、実際の修理費に応じて支払われるのではありません。「全損・大半損・小半損・一部損」の4区分で、保険金額の100%・60%・30%・5%が定額で支払われます(執筆時点)。
私の場合で計算すると、一部損なら最大1,000万円の5%で、約50万円。そして東日本大震災時の支払状況では、当時の3区分で「一部損」が約71%でした(現在は4区分のため単純比較はできません)。
認定は建物の主要構造部の損害割合で決まるので、「住むのが大変なくらい壊れたのに一部損だった」ということも起こりえます。
ここまで調べてようやく分かりました。
地震保険の本質は、「被災後のつなぎ資金を、保険で持つか、貯蓄で持つか」です。
私が外した理由=ローンがなく、つなぎ資金も貯蓄にあった
では、その「つなぎ資金」は、いくらあればいいのか。
あくまで私の考えですが、目安は生活費の6か月分と、最低限の家財一式。
我が家の場合、生活費6か月分は約250万円、家財の買い直しに200万円くらいとして、合わせて450万〜500万円です。家が壊れれば、家電も寝具も食器も買い直しになります。
ざっくりした見積もりです。でも、この額なら貯蓄で受けられる。それが確認できたから、外しました。
数字も書いておきます。地震保険を付けていた前の契約は5年で約12万円。そのうち地震保険の分が約7.4万円でした。
いまの契約は5年で15,830円。年に約2万円が浮き続けています。残りの差は、水災など火災保険側の補償をあわせて見直した分です。
妻にこの話をしました。
「地震保険を外そうと思っている。調べたところ、家を建て直すためのお金が出る保険じゃなくて、生活再建のつなぎ資金として出る保険みたいなんだよ。うちの場合、もう貯蓄で取ってあるからいらないと思うんだけど、どう思う?」
「そうなの? じゃあ削ろう」
妻、即決しました(笑)。
「地震を軽く見ている」わけではありません
私が地震保険を外した理由はもう1つあります。「家の守り」を確認できていたからです。
我が家は築5年以内で買った築浅の中古住宅で、いまの耐震基準で建てられ、完了検査にも合格しています(検査済証も手元で確認しました)。基礎はベタ基礎で、地盤調査・地盤保証の資料も確認しています。
つまり、大きな地震が来たときの倒壊リスクを、建物側で一定程度抑えられていると考えられます。
ただし、地盤保証は地震の被害そのものを保証するものではないので、あくまで家の状態を確認する材料のひとつです。
これがもし、旧耐震基準の古い家だったり、地盤の弱い土地だったら判断は変わると思います。地震保険を外すことと、地震に備えないことは、別の話です。 私は保険を外した代わりに、建物と貯蓄で備える形を選びました。
ついでに、水災も見直した
地震保険を外したとき、あわせて火災保険の中身も見直しました。外したもののひとつが「水災」の補償です。
理由は単純で、ハザードマップで確認した範囲では、我が家の立地に大きな浸水想定がなかったからです。もちろんハザードマップは想定条件にもとづくもので、リスクがゼロになるわけではありません。
大事なのは、「自分の家のリスクを地図で確認してから決める」ことです。ハザードマップは市区町村のサイトや国土交通省のポータルで誰でも無料で見られます。水害リスクのある土地に住んでいるなら、水災補償はむしろ手厚くすべきです。
地震保険に入り続けたほうがいい家計もあります
ここまで「外した話」を書いてきましたが、誤解してほしくないことが2つあります。
1つ目。地震保険は「ぼったくり保険」ではありません。 むしろ逆です。地震保険は政府が再保険で支える官民共同の制度で、保険料に保険会社の利潤が乗らない設計(ノーロス・ノープロフィット)になっています。保険料が高く感じるのは、それだけ日本の地震リスクが高いからです。
2つ目。地震保険が「効く」家計は、はっきりあります。
住宅ローンが残っている人。 家が全壊してもローンは消えません。住む家を失ったうえにローンだけ払い続ける「二重ローン」を防ぐ意味で、地震保険が命綱になる可能性があります。
被災者向けにローンを減免する枠組み(自然災害債務整理ガイドライン)もありますが、借入先の同意が前提で、家を残したいなら、その家の評価額に相当する額を別に払うことになります(執筆時点)。
貯蓄がまだ薄い人。 被災直後の生活費・引っ越し・仮住まいの費用を貯蓄から出せない状態なら、つなぎ資金はまさに地震保険の出番です。制度の目的そのものです。
もちろん公的な支援もあります。住む場所を失えば応急仮設住宅(民間の賃貸を借り上げる「みなし仮設」を含む)に原則2年、家賃の負担なしで入れますし、法が適用された災害で住宅が全壊し建て直す場合は、被災者生活再建支援金が最大300万円支給されます(執筆時点/内閣府)。ただし光熱水費は自己負担ですし、支援金の使いみちは自由とはいえ、家財を一式そろえ直し、二重の生活費を払いながら家を建て直すには足りる額ではありません。
保険料を抑えて入り続ける道もあります。いまの耐震基準の家には建築年割引(10%)、耐震等級によっては最大50%の割引があります(執筆時点)。「外すか、フルで入るか」の二択ではありません。
私も、もし住宅ローンがあったり、つなぎ資金が少なかったら外しません。
まとめ
- 地震保険は家を建て直す保険ではなく、生活再建の「つなぎ」の保険。制度の設計がそうなっている
- 私は「つなぎ資金は貯蓄で持てる」+「建物の守りを確認済み」で外した。火災保険の補償とあわせて見直し、5年で約12万円→15,830円に
- ローンが残っている人・貯蓄が薄い人には、地震保険は命綱になりうる。割引で安く入り続ける道もある
地震保険は、「怖いから入る」保険でも、「高いから外す」保険でもないと思います。想定した被害時にいくら出て、自分の家計はそれなしで立て直せるのか。それをしっかり考えてから決める保険です。
車両保険の記事でも書きましたが、知らない保険は、切れません。知らないまま入っている保険は、いざというとき「思っていたのと違う」になります。どちらに転ぶにしても、先に知っておく。それがいちばんの防災であり、いちばんの節約だと思っています。
……なお、偉そうに「備え」の話を書いてきましたが、白状すると、我が家にはまだ防災リュックがありません。保険を見直す前に、そっちが先だろうという話です。早急に用意します(笑)。
